法学部生のゼミ志望理由の書き方|例文解説と職種からの逆算
目次
法学部におすすめのゼミの志望理由の書き方
法学部のゼミ志望理由書を書く際は、法学部のゼミの特色とキャリアパスについての理解度を高めた上で取り組むことが重要です。
まずは、一般的な志望理由書の書き方を理解した上で、法学部に合った書き方に調整しましょう。
基本的な志望理由の書き方は、PREP法で簡潔な構成にすることが重要です。
詳しくは「<H1>ゼミの志望理由書の書き方を変えるだけで教授の目に留まる【例文付き】」を参考にしてください。
<H3>PREP法を活用してわかりやすい構成にする
PREP法とは、主張や考えをわかりやすく伝えるのに最も適したフレームワークです。
以下の4つの構成の順番で文章を作成します。
Point(要点)
Reason(詳しい志望理由)
Example(具体的なエピソード)
Point(結論)
<H4>Point(要点)
まずは、要点を伝えて読み手に対して文章の主張の「要点」と「全体像」を示します。
いわゆる、結論ファーストの形式です。
何をどんな方向性から主張するのか、読み手が想像しやすくすることで、その後の内容が入ってきやすくなります。
<H4>Reason(詳しい志望理由)
次に、その主張をする「理由」を伝えます。
志望理由書においては、「なぜ〇〇ゼミに入りたいのか」「そのゼミに入ってどうなっていきたいのか」がここで言う「理由」に当てはまります。
そのゼミである必要性を訴求しましょう。
<H4>Example(具体的なエピソード)
続いて、「理由」の説得力を高めるための「具体例」を示します。
なぜそのように考えるのかが読み手に伝わるようにしましょう。
注意点は、理由の説得力向上に寄与しない内容を書きすぎると無駄に長くなってしまうことです。
必要な部分のみに削ぎ落としましょう。
<H4>Point(結論)
「理由」と「具体例」で話が発散しているので、読者の意識を伝えたいことへと向け直します。
冒頭で説明した要点と一貫性を保ちつつ、ここまでの内容を受けて、1段階だけ具体性を上げて主張を締めましょう。
<H3>ゴールデンサークルを意識して志望理由の説得力を高める
ゴールデンサークルとは、相手の共感を引き出し、説得力の高い主張やプレゼンをするための手法です。
TEDのスピーカーとしても有名なサイモン・シネックが提唱した理論です。
その方法とは、“Why→How→What”の順番で物事を伝えることです。
これを志望理由におきかえると、以下のようになります。
Why:あなたが達成したい将来の目標
How:そのために何をするべきか(ゼミでの活動)
What:そうすることでどうなれることが期待できるのか
<H3>志望するゼミの形式から得られるスキルを踏まえて書く
法学部では、ゼミによって研究や学習の形式が大きく変わります。
詳しくは、「<H2>法学部のゼミではどんなことを行なうのか?」にて解説しますが、以下の3つの形式が主流です。
・グループワーク・ディスカッション形式
・プレゼンテーション形式
・模擬裁判形式
それぞれの形式で得られるスキルが少しずつ変わってくるので、それを踏まえて自分のキャリア形成にどう繋がるかを意識した書き方を心がけましょう。
<H3>法学部生のキャリアに活きることへの繋がりを意識して書く
志望理由の中で将来的な目標について触れる場合は、ゼミでの活動を通して自身のキャリアにどのように活きてくるのかを明確に表現しましょう。
例えば、弁護士事務所でもない民間企業に就職することを希望しているケースなどが特に当てはまります。
法曹界や弁護士を目指す場合は、専門性が合って入ればキャリアへどう活きるかわかりやすいです。
一方で、民間企業を目指す場合は、ゼミを通して養われるロジカルシンキングやプレゼン力などが重要になります。
「〜〜なキャリアを目指していて、〜〜なスキルを身に付けたいから、このゼミを希望する」という論理の筋が通るようにしましょう。
目指すキャリアに応じた書き分け方は、次の項目で解説しています。
まだキャリアの方向性に悩んでいる人向けにも、もう方向性が決まっている人向けにも、それぞれ参考になる視点から解説しています。
<H2>法学部のゼミの志望理由書の例文
Point(要点)
私は、会社法について〇〇ゼミで研究することを希望します。
なぜなら、企業買収や資金調達など、事業が飛躍的に成長していける施策について法律的に正しく解釈して企業運営を円滑に進められる人材になっていきたいと考えているからです。
Reason(詳しい志望理由)
私は、将来ベンチャーキャピタルかM&A会社で活躍することが目標です。
そして、後継者のいない高齢経営者の企業の技術を大企業へ継承し、スタートアップ企業の資金調達による技術発展の加速を支援するつもりです。
Example(具体的なエピソード)
以前は、「買収」と言う言葉にネガティブなイメージを持っていました。
しかし、地元愛知のある自動車部品工場が買収され、事業や技術が大企業へ継承されました。資本力が活かされて開発力が迅速に向上しているそうです。
さらに、経営者の方は十分な資金を貰って引退できました。
Point(結論)
企業の資金調達や事業譲渡を推進できる人材になるには、実務の場で正しく法律的解釈ができるような深い会社法の知識を身に付けることが重要と考えます。
これを、〇〇ゼミで行われるディスカッションや研究を通して実現していきたいと考えています。
<H2>志望業界が法曹界か民間企業で書き方を分けると効果的
就職を志望する業界に応じて、志望理由の書き方を少し書き分けると説得力が高くなります。
特に、どんな素養を身に付けたいのか説明する切り口が変わるからです。
この項目では、以下の3つの状況に合わせてどんな書き方が良いかを解説します。
<H3>民間企業で一番活きるのは「論理的思考力」
民間企業では、法務部などを除いて法律知識が直接的に活きる仕事が少なくなります。
例えば、コンサルタントなどで法律知識が役立つようなことはあります。
しかし、この場合は法律知識が主として求められていた訳ではありません。
そこで「論理的思考力」に焦点を当てることをおすすめします。
法学を通して論理的思考力を身に付けた先に、例えば以下のようなことができるようになります。
・論理に抜け漏れなく、客観的な根拠に基づいて主張する
・説得力高く人に何かを訴求する
・明確な答えのない問いに多数の納得を得られる解を出す
ちなみに、全くゼミの専門分野に興味を示さず、論理的思考だけに焦点をあてるのは印象が悪いので言い回しに気をつけましょう。
<H3>法曹界志望なら「法律知識」を徹底的に身に付ける
法曹界で活躍していきたい方は、法律知識を身に付けて専門性を高めることを前提とした志望理由書を作成しましょう。
なぜなら、法曹界に入るためには司法試験に合格する必要があり、そのためには法科大学院修了、ないしは予備試験合格という条件をクリアする必要があるからです。
書き方の方向性の一つとして、司法試験合格を見据えた上での学習機会を目的とするものがあります。
例えば、司法試験に向けて既に何らかの学習を行っている方であれば、それらの知識をアウトプットして教授から実践的な視点でフィードバックをもらいたいという主旨です。
もう一つの書き方は、司法試験や法科大学院の試験は自力で対処する前提で、良い法律の専門家になるための機会とする書き方です。
具体的には、ゼミで行われる模擬裁判などを通じて法律的な考え方を身に付けたいという主旨で書きます。
二つの書き方を紹介しましたが、両方を目的とした書き方をしても良いでしょう。
<H3>まだどちらか絞りきれていない人はスタンダードに書く
まだ将来の進路についてどうしていきたいか決めきれていない人は、スタンダードな書き方をしましょう。
正直、法曹界を志望するにはかなりの時間と労力がかかります。
特に、法科大学院に進学する場合は、社会人になるのに3年、最短でも追加で2年の期間を要します。
そこを志望理由として書くと、仮に書類審査に通過したとしても面接で落とされてしまいます。
そこで、民間企業を志望する人と同じ方向性で論理的思考などに焦点を当てた書き方をすることをおすすめします。
<H2>法学部のゼミではどんなことを行なうのか?
法学部のゼミでは、他学部のゼミと少し変わった形式でゼミの活動をすることがあります。
その形式の違いが、どのようなスキルを得られるかに違いをもたらす可能性があります。
どのような形式があるのか確認してみましょう。
・グループワーク・ディスカッション形式
・プレゼンテーション形式
・模擬裁判形式
<H3>グループワーク・ディスカッション形式
グループワークやディスカッション形式のゼミでは、学生が小グループに分かれて特定の法的問題やケースについて議論します。この形式は、チームワーク、批判的思考、問題解決能力を育てるのに役立ちます。学生は、多様な視点からの意見交換を通じて、異なる法的解釈や論点について理解を深めることができます。また、論理的な議論を展開し、自分の意見を効果的に表現する能力も養われます。
<H3>プレゼンテーション形式
プレゼンテーション形式のゼミでは、学生が研究したトピックについてのプレゼンテーションを行い、その後で質疑応答や議論が行われます。この形式は、公的な場での発言能力や、情報を整理して伝える能力を強化します。さらに、他者からの質問やフィードバックに基づいて、自分の理解を深め、思考を柔軟にする機会を提供します。
<H3>模擬裁判形式
模擬裁判形式のゼミでは、学生が裁判官、弁護士、検察官などの役割を演じ、実際の裁判プロセスを再現します。この活動を通じて、法的手続きの実践的な理解を深めることができます。また、法律の適用、論拠の構築、弁論技術など、法律実務に必要なスキルが養われます。模擬裁判は、法律の理論だけでなく、実際の法曹界での実務に近い経験を提供する貴重な機会です。
これらのゼミ形式は、法学の学習だけでなく、将来のキャリアに必要な多様なスキルを学生に提供します。自分のキャリア目標や興味に合わせて、適したゼミを選択することが大切です。
<H2>法学部生に人気のゼミ
法学部の中でも特に、人気があるゼミは倍率が高くなりやすいので、志望理由書をしっかりと作り込む必要があります。
人気のゼミは、専門分野というよりは各ゼミや教授の性質に依存することが多いです。
また、大学によって人気の分野が大きく変わることがあるのも事実です。
しかし、就活に強いと言われる分野やゼミには人気が集まりやすいです。
<H3>会社法
会社法とは、会社の設立や運営に関する法律です。
企業の運営などに関連性が高いことから就活で有利になりやすいと言われています。
実際には、どの学部出身かで就活の結果が決まることはまずありません。
しかし、真面目に取り組んで普通の学生よりも圧倒的に専門性を高めれば、業種や職種によって説得力の高い自己PRになる可能性はあります。
<H3>国際法
社会的な意識が高い人が多い大学であれば、人気が高くなる可能性があります。
というのも、国際法の扱う分野が人権問題や安全保障などの分野だからです。
また、国際法自体の研究と合わせて、そのような法律が制定された背景や歴史についても学習、研究することが一般的です。
そのため、社会人になってからも役に立ちやすい知識を得やすいゼミと言えます。
<H3>労働法
労働法は、基本的にほとんど全ての社会人に関係性のある法律であると言えます。
労働基準法や、労働組合法、労働契約法などといった労使関係、労働者の保護に関する法律を扱います。
そのため、会社員として働く方は自身を守るため、経営者となる方は労働者を適切に保護しながら雇用関係を築くのに必要な知識を得られるゼミです。
<H2>法学部生の進路として多い職種
法学部生には、法律関係の業界か一般企業に就職する選択肢があります。
この項目では、ゼミ選びの参考になるように、どのような進路があるのかを紹介します。
これらの職種や業界を理解することで、法学部生は自身のキャリア目標に合わせたゼミ選びができるでしょう。各職種に必要なスキルや専門知識を考慮し、自分の興味や将来の進路に合ったゼミを選択することが重要です。
<H3>民間企業
法学部と言えど、民間企業に就職する学生の方が一般的には多いです。
そこで、法学部生の就職先に多い業界や職種などを紹介します。
・コンサルタント
・金融業界
・デベロッパー
・企業法務
<H4>コンサルタント
コンサルタントとしての仕事は、クライアント企業の経営課題解決や戦略策定をサポートすることです。
法学部生は、特に法律に基づくリスク管理やコンプライアンスの知識を活かせます。
また、論理的思考能力や問題解決スキルもこの職種には不可欠です。
<H4>金融業界
金融業界では、法律知識が特にリスク管理、法務、コンプライアンス関連の業務で役立ちます。
法学部生は、金融商品の法的側面の理解や契約書の作成・解釈などでその能力を発揮できます。
また、どのようなトラブルや紛争が起きやすいか、法律の裏側まで理解を深めた上で業務に臨めるのも強みとなるでしょう。
<H4>デベロッパー
不動産開発(デベロッパー)業界では、契約法、不動産法、建築法規などの法的知識が重要になります。
法学部生は、開発プロジェクトの法的側面を担当し、リスク管理やコンプライアンスを確保する役割を果たすことができます。
<H4>企業法務
企業の法務部門では、法学部出身者がその知識とスキルを最大限に活かせます。
契約管理、知的財産権の管理、法的リスクの評価など、企業が直面する様々な法的課題を解決するのが主な仕事です。
例えば、営業担当が受注をもらった際に送る契約書の雛形作成や、法律変更に合わせた調整、自社が他社と契約した際のリーガルチェックなどが具体的な業務になるので、法律知識が必須です。
財務系の知識を合わせ持つことで、管理系のスペシャリストとしての活躍も見込めます。
<H3>法曹界
法曹界は、法学部ならではといった業界ではありますが、法科大学院に通って司法試験に合格するなど高いハードルもあります。
しかし、業界に入ることができれば素晴らしいキャリアになるのもまた事実です。
法曹界とは具体的に以下の職種を指します。
<H4>弁護士
弁護士は、クライアントを代理して法律相談を提供し、訴訟や交渉を行います。
法律や判例に関する幅広い知識はもちろんですが、併せて倫理観やコミュニケーション能力も重要です。
特に、論理的に主張を通す力と、専門外の方に分かりやすく伝える力が重要です。
<H4>裁判官
裁判官は、法的紛争を公正に解決する役割を担います。
法律や判例に関する深い知識のほか、公平性と厳格な倫理観が求められます。
<H4>検察官
検察官は、犯罪の捜査や起訴を担当し、公共の安全と秩序を守る役割を果たします。
法律に関する専門知識と正義感が不可欠です。
<H4>法律学者
法律学者は、大学や研究機関で法学の研究と教育に従事し、法理論の発展と深化に貢献します。
新しい法律理論の開発や論文執筆、学術会議でのプレゼンの他に、政策立案者への助言が含まれます。
法曹界の中では、唯一司法試験が必須ではない職種ですが、司法試験を合格していた方が活躍の幅が広がりやすいです。
<H2>【まとめ】法学部の特色を理解してゼミの志望理由書を完成させよう
法学部生は、キャリアの選択肢とゼミの特色を理解した上でゼミの志望理由書を書くことが重要です。
そこで、本記事では形式面と内容面、法学部の個別性に着目したアプローチを紹介しました。
形式面ではPREP法を意識し、内容面ではキャリア目標などを含めてゴールデンサークルに則って書くことがポイントです。
そして、法学部生の進路やゼミでの活動を理解し、そこで得られる「論理的思考」や「法律知識」がどう役立てたいかを伝えましょう。
内容面が固まった方は、以下の記事を参考にして志望理由の質を高めてみてください。
参考記事:ゼミの志望理由書の書き方を変えるだけで教授の目に留まる【例文付き】
参考記事:ゼミの志望理由は締め方で大きく印象が変わる!型を使いこなそう【例文付き】
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