ゼミの志望理由は「ですます」で書く?文体の使い分け方
目次
ゼミの志望理由では「ですます調」を使うべき
ゼミの志望理由書を書くにあたって、「です・ます調」と「だ・である調」のどちらを使うべきか迷うかもしれませんが、基本的には「ですます」で書きましょう。
この項目では、二つの文体の使い分けとゼミの志望理由書で「ですます」が適切な理由を解説します。
<H3>「ですます」と「である」の文体の使い分け方は?
「ですます」と「である」の文体は、それぞれどのような使い分け方をしたら良いのでしょうか?
まずは、以下の表を参考にしてください。
文体 | ですます(敬体) | である(常態) |
用途 | ・エッセイ ・作文 ・会話 | ・レポート ・論文 ・契約書 |
印象 ・特徴 | ・客観的というよりは丁寧 ・立場や丁寧さを意識した文体 | ・丁寧というよりは客観的 ・公平性、明確さを保つための文体 |
厳密には「ですます」の文体のことを「敬体」と、「である」の文体を常態と呼びます。
それぞれの用途については、丁寧さと客観性のどちらを意識するかによって変わります。
会話や作文などにおいては客観性が必ずしも必要な訳ではなく、むしろ丁寧な方が良いことが多いでしょう。
一方で、レポートや論文などでは明確に事実や意見を主張するために断言をする必要があります。
ここで丁寧さを意識すると、かえって曖昧になるためよくありません。
<H3>ゼミの志望理由書ではなぜ「ですます」が適切か?
それでは、なぜゼミの志望理由書では「ですます」の敬体を用いるべきなのかを解説します。
主な理由としては以下の3つです。
・志望理由とは主観的なものであるため、公平性などを高める必要はないため
・読み手である教授と学生には立場の差があるため丁寧さが重要になるため
・多くの学生が「ですます」を用いる可能性が高く悪目立ちする可能性もあるため
まず、志望理由を客観的に表現することは難しいです。
なぜなら、ゼミに入りたいという希望は主観的なものだからです。
なぜそのゼミに入りたいのか説得力を高める必要性はありますが、公平である必要はありません。
「ですます」と「である」の文体の差によってどのように感じるかは人それぞれです。
もちろん「である」で書いても全く問題なく読んでくれる教授も多くいます。
しかし、「である」で書いたことで失礼な印象を持たれたり、マイナスな評価をされてしまう可能性があることを否定はできません。
一方で、「ですます」で書いたこと自体がマイナスになることは基本的にないでしょう。
教授がどのように感じるかまでは読むことができないので、「ですます」で書くのが無難です。
<H2>「ですます」と「である」の志望理由の例文比較
ここまで、志望理由は「ですます」で書いた方が無難なためおすすめであることを説明しました。
実際に、全く同じ内容の志望理由を2つの文体で比較してみましょう。
それぞれどのような印象の違いがあるか確かめてみてください。
<H3>「ですます」の志望理由の例
まずは、ですます調の文体の志望理由を見てみましょう。
ですます調の文体の例:
私は、会社法について〇〇ゼミで研究することを希望します。
なぜなら、企業買収や資金調達など、事業が飛躍的に成長していける施策について法律的に正しく解釈して企業運営を円滑に進められる人材になっていきたいと考えているからです。
私は、将来ベンチャーキャピタルかM&A会社で活躍することが目標です。
そして、後継者のいない高齢経営者の企業の技術を大企業へ継承し、スタートアップ企業の資金調達による技術発展の加速を支援するつもりです。
以前は、「買収」と言う言葉にネガティブなイメージを持っていました。
しかし、地元愛知のある自動車部品工場が買収され、事業や技術が大企業へ継承されました。資本力が活かされて開発力が迅速に向上しているそうです。
さらに、経営者の方は十分な資金を貰って引退できました。
企業の資金調達や事業譲渡を推進できる人材になるには、実務の場で正しく法律的解釈ができるような深い会社法の知識を身に付けることが重要と考えます。
これを、〇〇ゼミで行われるディスカッションや研究を通して実現していきたいと考えています。
<H3>「である」の志望理由の例
続いて、である調の文体の志望理由を見てみましょう。
である調と言いつつ、実際には「だ」を使うことが多いです。
である調の文体の例:
私は、会社法について〇〇ゼミで研究することを希望する。
なぜなら、企業買収や資金調達など、事業が飛躍的に成長していける施策について法律的に正しく解釈して企業運営を円滑に進められる人材になっていきたいと考えているからだ。
私は、将来ベンチャーキャピタルかM&A会社で活躍することが目標だ。
そして、後継者のいない高齢経営者の企業の技術を大企業へ継承し、スタートアップ企業の資金調達による技術発展の加速を支援するつもりだ。
以前は、「買収」と言う言葉にネガティブなイメージを持っていた。
しかし、地元愛知のある自動車部品工場が買収され、事業や技術が大企業へ継承された。資本力が活かされて開発力が迅速に向上しているそうだ。
さらに、経営者の方は十分な資金を貰って引退できた。
企業の資金調達や事業譲渡を推進できる人材になるには、実務の場で正しく法律的解釈ができるような深い会社法の知識を身に付けることが重要と考える。
これを、〇〇ゼミで行われるディスカッションや研究を通して実現していきたいと考えている。
<H3>「ですます」と「である」の志望理由の印象を比較
上記の例文の通り、「ですます」と「である」の文章を比較すると両方の文体による印象の違いを感じることができるでしょう。
・「である」でも文章の大部分において、目立った違和感がある訳ではない
・「である」はゼミへの加入を希望する意の文では立場が意識されないため違和感がある
・「である」は良くも悪くも強い印象がある
・「ですます」は丁寧な感じだが、無難でマイナスポイントは特にない
・「ですます」は比較的親しみやすさも感じやすい
「である」を使った表現は、ゼミへの参加を希望することを伝える文では違和感が出てしまうこともありますが、文章全体を通して変である訳ではないです。
そのため、文字数の上限に数文字オーバーしてしまうが、他に削れる箇所がないという方は「である」を利用しても良いでしょう。
しかし、文字数などに余裕があるような場合は無難に「ですます」で記入するのが良いでしょう。
<H2>「ですます」と「である」のメリットとデメリット
ここまでに解説してきたように無難なのは「ですます」ですが、文字数上限などの都合がある場合は「である」を用いる選択肢もあります。
しかし、それでもどちらにするべきかしっくり来ないという方に向けて、この項目では両方の文体のメリットとデメリットを解説します。
<H3>「ですます」の文章の特徴
まずは、「ですます」の文章のメリットとデメリットについて解説します。
<H4>「ですます」の文章のメリット
・礼儀正しい印象を与えられる
・表現の物腰が柔らかくなる
・文章が読みやすくてわかりやすくなる
「ですます」で表現することで、敬語の文章になるので自然と礼儀正しい印象を与えることができるのがメリットです。
また、敬語である分だけ物腰も柔らかいので、悪印象を与えることもなく、文体を理由にマイナス評価を受けることはまずないです。
「である」で書くよりも文章が堅くなりにくく、読み手の頭に入りやすいということもメリットと言えます。
<H4>「ですます」の文章のデメリット
・文字数が多くなってしまう
一方で、文字数が多くなってしまうことがデメリットです。
一文あたり25~70文字程度になることが多いです。
そのため、400字の志望理由であれば5~16文字、1000文字の志望理由であれば14~40文字ほど変わります。
文字数の上限に対して、どうしても数文字だけオーバーしてしまうといったケースがあるかもしれません。
そのような場合は、1文を丸ごと削除するか、構成を見直すなどの対応が必要になるかもしれません。
<H3>「である」の文章の特徴
続いて、「である」の文章のメリットとデメリットについて解説します。
<H4>「である」の文章のメリット
・文字数を少なくすることができる
・断定的な表現をしやすい
基本的には、志望理由は「ですます」で記入する人が多いのではないでしょうか。
あえて、「である」の文体で記入するということは、文字数が足りずにやむを得ずそうしている方もいるでしょう。
まさに、「である」の文体にすることで、文字数がコンパクトになり、1文分程度の余裕を持つことができます。
また、断定的な表現をしやすいというのも「である」を使うメリットです。
この形式は、客観性や公平性を感じやすい文体になっているため、説得力を高めることができます。
<H4>「である」の文章のデメリット
・生意気な印象になってしまうこともある
・気持ちを表現しにくい
「である」の形式で文章を書くデメリットは「生意気」「礼儀正しくない」などと受け取られてしまう可能性があることです。
受け取り方は人によるので、そうでない教授ももちろんいますが、思いの外悪印象を持たれてしまう可能性も十分に考えられます。
特に、教授によっては「志望理由は敬体で書くのが常識だ」と考えていることもあるので気をつけましょう。
また、感情を表現するのにも向きません。
「である」の文体は、客観的な文章表現に特化した文体です。
そのため、気持ちなど主観的なことを表現しようとするとどうしても違和感が湧いてしまうでしょう。
例文:
私は、民法の中でも物権の知識を通して不動産領域で営業として活躍したい。
自身は、一軒家で育ち過ごしやすい住宅があることに嬉しいと感じる。
自身が販売した家を通して同じように喜びを感じる人を増やしたい。
このように、感情面に寄った表現をすると違和感のある文章になってしまうのが、「である」の文体のデメリットです。
また、ゼミへの参加意思を示すのにもあまり向きません。
例文:
・私は、〇〇ゼミで会社法の知識を深めたい。
→私は、〇〇ゼミで会社法の知識を深めたいです。
・〇〇ゼミで会社法について学ぶことは、将来のキャリア目標に役立つと考える。
→〇〇ゼミで会社法について学ぶことは、将来のキャリア目標に役立つと考えています。
上記の例文で示したように、「である」の形式だと上から目線な印象にもなってしまいます。
同時に、「ですます」を使って敬語で表現することで上から目線な印象をなくすことができます。
<H2>【FAQ】志望理由書についてのよくある質問
ここでは、志望理由書を書く上でよくある質問を紹介します。
文体以外についても悩みがある方はぜひ参考にしてください。
<H3>志望理由を書く上で効果的な構成の作り方を知りたいです
志望理由を書くには、PREP法という手法を用いて構成を整理することがおすすめです。
PREP法では、以下の手順で構成を作成します。
Point(要点)
Reason(理由)
Example(具体例)
Point(結論)
これをゼミの志望理由の書き方に上手に落とし込む方法を知りたい方は、「ゼミの志望理由書の書き方を変えるだけで教授の目に留まる【例文付き】」の記事を参考にしてください。
PREP法を用いて志望理由を書く方法と、PREP法を活用して作成した志望理由の例が書かれています。
<H3>志望理由が思いつきません。どうしたらいいですか?
志望理由が思い付かない方は、ゼミに合格するのに必要な志望理由を逆算して考えれば問題ありません。
つまり、完全には本心という訳ではなく、建前の要素がありますが、ゼミに合格するという目的には近付きます。
具体的な方法が知りたい方は、「ゼミの志望理由が書けない人が逆算型3ステップで書き上げる方法を具体的に解説」を参考にしてください。
<H3>志望理由が1000文字で完成させられそうにありません。
志望理由が1000字の指定の方は、PREP法における「Reason(理由)」と「Example(理由)」の文量を厚くする必要があります。
そのためには、具体的な情報を書くためのゼミの調査が必要です。
また、書き方のノウハウだけを知ってもそれだけで実践までするのは難しいです。
そこで「1000字のゼミ志望理由書では何文字以上書けば良い?【例文付き】」では、学部別に1000字の例文と、内容を厚くする方法を解説しているので参考にしてください。
<H2>【まとめ】ゼミの志望理由は「ですます調」で書くのが無難
ゼミの志望理由を書くにあたって、文体選びに悩む方に向けて本記事では「ですます調」と「だ・である調」の選び方について解説しました。
結論としては、「ですます調」で志望理由を記入するのがおすすめです。
敬語としての表現でもあるため、基本的には文体を理由として相手に悪印象を与えることがないからです。
一方で、「ですます調」には文字数が多くなってしまうというデメリットがあることも紹介しました。
文字数の上限をどうしても超えてしまうような場合は、「だ・である調」を選ぶのもありです。
しかし、特に感情表現やゼミへの参加意思を示す文において、「だ・である調」は違和感や、上から目線な印象を与えることがあるので注意が必要です。
志望理由の文体による表現で教授に与える印象は変化する可能性が高いです。
十分に気をつけて記入し、希望のゼミに合格できるようにしましょう。
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